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 2023年夏、蛇口をひねると赤褐色の水がでました。厨房も浴室もトイレもすべて赤褐色。何事?

私の住む地域には水道管が敷設されておらず、各家庭で井戸を掘り、その水で生活をしています。令和、いえ昭和の時代でもめずらしい環境です。地下40メートルからくみ上げた水で入れるコーヒーは最高においしいです。その水が真っ赤に…。

 

 これは井戸に何かおこったなと思い、井戸業者の方に調べてもらいました。井戸の底には長い間に少しずつ泥がたまっていくものらしく、その泥がポンプの吸い込み口の高さに達してしまい、水と一緒に泥を吸い上げるようになったとのことでした。

さてどうするのかと思っていたら、井戸パイプに空気を吹き込み、泥をかき出す掃除をするとのこと。掃除日当日、大きなコンプレッサーが運んでこられ、ものすごい勢いで井戸に空気が吹き込まれました。でてくるでてくる、大量の泥水が…。3時間ほど空気を吹き込んだあと水は透明に。 

 水が濁ってから掃除をするまでの1週間、まったく水が使えなかったため、ありがたいこれで日常がとりもどせると一安心しました。ですが、1週間後また、水が濁りだしました。

1か月様子をみても、濁ったまま…。

これはどういうこと?井戸の中はきれいになったんじゃないの??業者の方に問い合わせると、にっこり笑って「そりゃそうよ、あれだけ水脈をあらしたんだから、すぐには安定しないよ。」との返答。確かにと思い、せっかちな自分を反省しました。

浄水場で管理されている水ではなく、山から直接恵みをわけてもらっているのに、今までの常識でものごとをはかろうとしていた自分に反省です。

 それでも、今後のことが気になって「どれぐらいで安定するものですか?」と聞いてみると、

これまたにっこり笑って「2~3年かかるね~。井戸は時間がかかる!」と…。

予想を上回る回答で、もう笑いがとまりませんでした。のんびりいきましょう、私。

自然と付き合うということはこういうことなんですね。

 2年半がたちました。もういいかな?年があけたら水質調査してみようかな?

 

文 / 湯川 千早