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玉川上水

 玉川上水は江戸の飲料水のため、江戸時代の前期に多摩川の羽村から四谷までを高低差92メートル、全長43キロの露天掘りされた上水用水路です。玉川兄弟が請け負い、約8か月で成し遂げたとのことです。現在でも東京都の上水に使われ、その堀沿いの小道は散策などの憩いの場になっています。

 

 現場への通り道でしたので、四季折々の玉川上水を感じることが出来ました。そして、堀の清流を見るごとに、重機も高低差を測るデジタル計測器もない時代に、“良くぞ成し遂げたものだ”とそのエネルギーと技術に感服していました。

 幕府からの資金も費え、最後は私財を投じての事業。命じられたからとか、使命感からとかで片付けられない“思い”があったのでしょうか…。用水路壁面の地肌を見ていると、ひと鍬ずつ掘り進んで行った、当時の人夫達の姿が浮かぶようでした。難工事に対峙し、只々“やり遂げるだけだ”という“情熱”を感じました。


文 / 鈴木 俊文