2023年もあとわずか。今年は小さな旅行を楽しむ機会が増えました。
先日、15年ほど前に住まい塾の設計で鎌倉に建てられた家に宿泊する、という貴重な体験をしました。建主さん亡き後に、親族の方が宿泊施設として管理されている建物です。興味津々の一泊旅行、竣工当時に担当したスタッフや施工者の創意工夫に想いをはせ、素材や空間の豊かさを文字通り肌で感じ確かめる、印象深い一夜となりました。丁寧につくられ美しく保たれている建物から包みこむような安心感をもらい、これまでの持ち主の方々がこの建物をとても大切にされてきたということがよく判りました。家は家族代々、または縁のあった方が住み継いでいくのが一つの理想かと思いますが、民泊という方法を取り入れることで、建物を継承し大切に守り続けていただいていることをうれしく思いました。
感染症との付き合い方が世の中に浸透してきたことで、住まい塾も本部に集まっての勉強会を徐々に復活し、今年は直接参加者の皆さんとお話しする場を数回持ちました。また、このコロナ禍の3年間、オンラインを利用した勉強会を実施するため試行錯誤を重ねたことで、図らずも色々な方とつながるための新しい手段を、拙いながらも習得することになりました。来年は今年にもまして直接集まる機会が増えそうです。これまでの住まい塾を継承しつつも新しい手段をも取り入れることで、様々な形でつながる場が増えるのを楽しみにしています。決して以前の姿に後戻りするのではなく、常に前を向いて模索し良い方向へ進んでいきたいものです。
来年もよろしくお願いいたします。
文 / 筒井 涼子