この頃は少数派になってしまったが、私は二槽式洗濯機の愛用者だ。
「全自動」という魅力に引かれ全自動洗濯機を30年程前に購入したのだが、石鹸カス・ホコリなど二槽式では付かなかった洗い上がりに閉口した。
全自動洗濯機と二槽式洗濯機、何が違うのか?
洗濯槽の形が違う
全自動は脱水槽も兼ねるから二重になっている
いろいろ考えて決定的な違いは、二槽式は洗濯槽から脱水槽へ洗濯物を移動する行為があるということに気がついた。
全自動は洗濯物が入ったまま排水するから、洗濯物がフィルター状態になってしまい、石鹸カス・ホコリが洗濯物の上に残るということになる訳だ。
これに気がついてしまった私は全自動洗濯機を使いたくなくなった。でもその頃はリサイクル店が少なく、すぐに廃棄するわけにもいかず、泣く泣く手動で予洗いしたり注水すすぎを2回もしたりしながら使うことにした。全自動洗濯機なのにまったく自動ではない使い方には笑えるし、こんな手間をかけても多少付着物が減る程度だった。故障した時はうれしくて、すぐに二槽式を購入し、現在に至る。
二槽式が理由の全てではないかもしれないが、私は部屋干し臭に悩まされたことはほとんどない。30年前に比べれば現在の全自動洗濯機は改良されていることと思うが、「洗濯槽から脱水槽へ移動する」ということだけで洗い上がりが格段に良くなるなら、私はこちらを選びたい。これが私のこだわりだ。
以来、私は「全自動」というものにはすぐに飛びつかなくなった。
文 / 政谷 悦子