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自宅の横に生垣を作ろうとブラックベリーを植えて、20年以上経ちました。"ブラック”というベリーはあまり馴染がなかったのですが、お店でブルーベリーの苗の隣に売っていてお安かったので、安易に混ぜて植えました。ほどなくブルーベリーは枯れてしまいましたが、水やりを忘れたり、パサパサな土壌でもブラックの方はけなげに生き残ってくれました。
実はこの木の樹形は自立せず、気ままに枝を伸ばすようなタイプだったようで、支柱を立て、陽当たりの工夫をしてやると、その分だけぐんぐん成長が良くなり、たくさん実をつけるようになりました。こちらの都合を強いると一筋縄ではいきませんが、自由に伸びる分には今もほとんど世話しなくても元気に育ってくれます。庭師さんに竹の支柱を組んでもらったので生垣の役目も果たすようになっています。
実をつけてくれるようになったブラックベリーなのですが、食べるには小さく固い種がたくさんあって、手間がかかります。ケーキに入れても生でも私は種を食べるのが苦手です。ベリー類なのでとても美味しいジャムにはなるので、とりあえず冷凍しておいて、暇を見つけて種を濾してジャムを作っています。友達にお裾分けするのが楽しみになりました。
長年なんとか付き合ってきましたが、つい最近になって、イギリスでは好んでこの実をデザートに調理する、と知りました。娘が見ている、『ブリティッシュベイクオフ』というテレビ番組で紹介されたのですが、何故か嬉しくて、仲間が出来た気分になりました。おかげで娘もブラックベリーの世話を買って出てくれるようにもなりました。
今年は豊作で、今日だけでも800gの収穫がありました。ジャムだけではなく、レシピを研究して、カスタードのような食感の”カード”や他の果物と組み合わせたケーキを作ろうかなと、新たな楽しみが膨らんでいます。
文 / 南野 容子