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My Back PagesⅠ

My Back PagesⅠ

 10年以上前、仏画家の安達原 玄さんから頂いた本 『涙骨抄Ⅱ』(真渓涙骨著)に書かれていました。 この言葉が心に刺さり、机の前に貼って何度も読み返しています。 涙骨はこの中で「詩人」に例えて戒めを書いているのですが、デザイン・芸術系に携わる人は「詩人」を自らの生業に読み替えて読めば、それぞれの生き方に当てはまると思います。

 建築は複雑な要素を組み合わせて最終的に「かたち」として生み出す作業ですので、とても沢山のエネルギーを費やします。 しばしば時間に追われて事務的になってしまったり、過去の事例に捕らわれて安易な方向に流れてしまう事があります。 結果、「豊かな空間」と口にしながら己の生活や精神が荒み、貧しい環境での創作活動になっていることに気付かずにいるのです。 

 振り返ればそんなことの繰り返しで、躓いた時にはいつも読み返して自らを戒めています。

 


文 / 門田 勝吉