沖縄の舎が完成しました。普請は中城(ナカグスク)の(株)安永建築です。
沖縄県は住まい塾初めての地で、勝手が分からず施工者探しに四苦八苦でした。本土の設計事務所とのことで警戒もされました。本命の工務店は「大工工事以外は別発注」とのことで実りませんでした。施工者探しに1年ほど経っていましたので、当初から名前が挙がっていた安永建築に声を掛けてみることにしました。
安永建築は、建て主のFさんが家造りを思いたって、尋ねた工務店とのことでした。代表の安永さんに会われた高橋さんの感想は「安永さんと鈴木君は反りが合わないと思うが・・・」とのことでした。私は現場から遠いこともあり、施工者候補から外していたのですが・・・。
見積もりは予定工事費を超えていましたが、安永さんの「(ジャングル状態の敷地の)伐根から建物、外構を含めて、予定工事費で引き受けた」との一声で工事契約に至りました。まさに“請負の気っ風”、俺に任せろとの気概を感じました。住まい塾の家造りには、大なり小なり“請負”の精神が必要です。Fさんも私も、安永建築に任せる腹が固まりました。
安永建築には、沖縄の台風・暑さに対する知恵と材料を惜しみなく駆使して戴きました。より良い家になるようにと、職人さんも努力してくれました。その結果、現場周辺では際立つ“寄棟赤瓦の沖縄の舎”が完成しました。
「紫微鑾駕(シビランカ)」と墨で認めた板を棟木に張り付けたいと建て主のFさん。沖縄に伝わる古い習慣のようです。「紫微鑾駕」は“棟木に記す中国起源の呪語”で、木造建築の「除災招福」の護符とのことです。沖縄の古民家の小屋裏には良く見られるようです。
海洋国家としての琉球王国は、復元中の首里城をはじめ、世界遺産となっている城(グスク)を見ても、色濃く大陸の影響を受け、独特の文化を形成しました。沖縄県となって久しいですが、現代でも大和文化と異なる琉球文化を感じます。
「紫微鑾駕」を通じて、改めて沖縄に想いを寄せました。
文 / 鈴木俊文